【福島の家づくり】その壁構成、ちょっと待った!

   

こんにちは!
担当の渡辺です!

寒い日が続いております。
今年は終日氷点下の日もあったり、ー7℃になったり、昨年の冬がウソのようです。

やはり福島の冬は寒い・・・
これから住まいづくりをするなら暖かい家が欲しいなって、なおさら思えてしまいます。

暖かい家にはしっかりとした断熱施工が必要ですので、どんな断熱材を使ったらいいか迷ってしまうところですが、
床や壁、天井は断熱材だけでなく複数の材料が重なり合って構成されています。

今回は壁に絞ってお話を進めてまいりますが、この壁を構成する材料の組み合わせによっては・・・
見えない壁の中で結露が発生します!

壁内結露と呼ばれるもので、断熱材をはじめ、柱や土台など家の主要構造材まで害が発生し、
住まいの寿命を縮めてしまうだけでなく、お住まいのご家族の健康にまで悪影響を及ぼす大変危険な現象です。
夏に冷たいコップのまわりに水滴がつくのと同じ理屈です。

今どきの住宅でそんな家あります?と言われそうですが、材料の組み合わせによっては十分可能性があります。
シミュレーション結果と一緒に、問題点をみていきましょう!

【福島の家づくり】その壁構成、ちょっと待った!

まずは一つ目のサンプルです。
室内側からビニルクロス~石膏ボード~中空層(断熱材と石膏ボードの隙間)~断熱材(発砲ウレタン)~面材(構造用合板)~透湿防水シート~外部

これは、やってはいけない組み合せ例です。
この組み合わせにした理由は、建築コストの削減を目的に比較的簡単に一定以上の断熱・気密性を確保できる現場発泡ウレタンの採用数が増えていること、
耐力壁として安価に購入できる合板を面材に採用している工務店さんが多いからです。

そしてポイントとなるのは「防湿気密シート」の施工を省略してしまっている点になります。
必ず押さえておいていただきたいのは、原則的に防湿層が必要であるということ!
防湿層を省略(この例のように防湿気密シートを施工しない)する場合によく使われる検討の方法として、壁のそれぞれの材料の透湿抵抗(湿気の通しやすさ)をもとに
計算を行って安全であることを確認しなければなりません。
他にも4つほど要件がありますが、一般的な木造住宅で該当する可能性は低いため今回はご紹介を控えます。

現場発泡ウレタンによる断熱工事を行う場合、気密シートの施工は省略できるという認識が広まっています。
実際のところは面材に構造用合板を選定しなければ防湿層の省略できる要件に当てはまるのですが、このシミュレーションのように
面材を構造用合板にしてしまっていたら・・・その壁構成、ちょっと待った!結露します!

お話をシミュレーションに戻します。
結露判定の条件として、一般的には室内温度10℃、福島の場合は外気温1.3℃、室内室外ともに湿度70%となります。(冬の想定です)
この場合に、室内から外へ温度が移動する際、温度が露点温度を下回らないか見ていって、下回るところがあれば結露が発生します。

このシミュレーション結果ですと断熱材と合板の接地面で結露が発生しています。
なのでやってはいけない壁構成となるわけです。

こちらで温度が各材料を通過する時に何℃になっているか、露点温度が何℃かわかり、
断熱材と合板の接地面で温度が露点温度以下になっていることが確認できます。

一般的に使われている室内温度10℃というところに私は少し疑問を感じています。
冬に過ごすお部屋が10℃って寒くないですか?
高性能住宅ともなれば、玄関だってトイレだって10℃以上はあります。
リビングが20℃くらいなら、15℃前後は維持するのではないでしょうか。

ですので・・・
室内温度を22℃に設定してみました。
もう温度が断熱材を通過する段階で露点温度を下回っています。
こちらの方が現実的ですし、防湿層が無いことの怖さ、壁構成を考える大切さが分かります。

次は室内温度や外気温、湿度の設定はそのままに、面材を合板から「ダイライト」という湿気を通しやすい面材に変更してみます。
こちらが防湿層を省略できる要件に当てはまる組み合わせ例です。(決して防湿層の省略を推奨する訳ではございません・・・)
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このように材料の組み合わせ一つで状況は変わります。
良くも悪くも変化します。

私は原則的には防湿気密シートの施工を推奨しますので、最後にこちらをご覧ください。

ごく一般的な壁構成ですが、防湿気密シートを施工すれば、面材に合板を採用しても全く問題ありません。
大切なのはきちんとした裏付けをもっているかどうかということ。
周りがどんな施工をしていても、どんな材料を組み合わせていても、それがより良いものであるかはわかりません。

壁内結露についてはこのようなシミュレーションだけではなく、現場での施工精度が本当に大事です。
ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせをお待ちしております。

皆さまのお住まいが快適で長持ちすることを願い、今日の投稿とさせていただきます。
ありがとうございました!

担当 渡辺一紘